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AIは、以前では考えられなかったほど速く、さまざまな答えを出せるようになりました。
情報を収集し、分析し、比較する。さらに、解決策やアイデアを提示し、文章や資料を作成することもできます。
では、AIに答えを求める前に、人間は何を考える必要があるのでしょうか。
私は、企業の現場においても、「どうすれば解決できるか」を考える前に、「そもそも何を問題としているのか」を問い直すことが重要だと考えています。
例えば、何か新しい施策を始める場合でも、施策の内容を検討する前に、まず確認すべきことがあります。
こうした前提や目的が曖昧なままでは、AIから優れた回答を得られたとしても、それが本当に自分たちにとって適切な答えなのかを判断できません。
AIが答えを出す力を高めるほど、人間には、何を問うのか、何を前提とするのか、何を決めるのかという思考が重要になるのではないでしょうか。
こうした問題意識から、私は現在「思考と意思決定の関係」について研究しています。
その研究の中で開発・検討しているのが、0-LD(Zero-Point Loop Decision)、日本語では「0地点ループ型意思決定モデル」と呼んでいる枠組みです。
0-LDでは、意思決定を始める前に、一度「0地点」に立ち返ることを重視しています。
0地点とは、意思決定の出発点となる基準点です。そこで、自分が何を前提としているのか、何を目的としているのか、なぜ今ここから始めるのかを確認します。
そのうえで、問い直し、考え、判断し、実行する。そして、プロセスの途中や目標に到達した段階で、必要に応じて再び0地点に立ち返ります。
これは、最初に決めたことを最後まで進めるだけの意思決定ではありません。状況の変化に応じて、出発点そのものを見直すことを含んだ考え方です。
AIを活用する場合も同様です。AIから回答を得ることだけを目的にするのではなく、その回答を何のために使うのか、自分たちは何を実現したいのかを確認することが重要になります。
答えを出す前に、問いと前提を見直す。
この考え方が、AI時代の意思決定を考えるうえで重要になると考えています。
私は、このテーマを研究だけで終わらせるのではなく、企業研修やコンサルティングの現場でも実践していきたいと考えています。
企業の意思決定では、目の前の課題に対する解決策を考えることが多くあります。しかし、その前提となる問題の捉え方や目的が曖昧であれば、適切な判断につながらない可能性があります。
だからこそ、何を問題としているのか、何を前提としているのか、何のために判断するのかを確認する思考が必要です。
0-LDについても、学会での発表や議論を通じて、モデルの構造や実務での活用可能性を引き続き検討しています。
まだ研究途上の枠組みですが、研究と企業での実践を往復しながら、その可能性を深めていきたいと考えています。
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